西間木 智
西間木 智

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

SHEINのビジネスモデル要素を分割検証する #5 3Dデザインモデリング

CX D2C ファッション・アパレル
3D

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株式会社富士ロジテックホールディングス
通販営業部 部長
西間木 智

中国の SHEIN は高い目標を掲げています。フィナンシャル タイムズによると、オンライン衣料品小売業者は、新規株式公開に向けて準備を進めている投資家向けのプレゼンテーションを引用して、2025 年には売上高が 2 倍の 585 億ドルに達したことを背景にして、75 億ドルの利益を生み出すことができる想定しています。
リフィニティブのデータによると、ザラブランドで知られる実店舗のライバルであるインディテックス(ITX.MC)や、ユニクロのオーナーであるファーストリテイリング(9983.T)の年間売上高と利益予測を大きく上回っています。

コストの上昇と新たな競争によって、一筋縄ではいかないのがマーケットです。
PDD (PDD.O)は最近、Temu ショッピング サービスを開始しました。現在、米国で最もダウンロードされているアプリです。

しかしこのアプリには苦情も多く、その多くが商品が届かないことや壊れた商品が届いたこと、カスタマーサービスの対応が遅いことなどを指摘されています。

Temuは、2015年に始動した同様のビジネスモデルを持つEコマースサイトのピンドォドォのサプライチェーンを利用しています。
しかし、ピンドォドォにも同様の苦情や、コピー商品の問題が指摘され、2019年に米国通商代表部はこのアプリを「悪名高い市場」のリストに掲載しています。

SHEINが採用しているビジネス要素を各機能に分解して、それを提供するスタートアップを探索・検証することでインサイトを得ていきます。

#5 は マーチャンダイジングテック の3D デザインモデル について

SHEINの成功は、ファストファッションモデルを強化したことにもあります。

特定の国のウェブ検索やソーシャル メディアの行動から得たアルゴリズムを使用して、最新のファッション トレンドを確立し、世界中のデザイン チームが多数の新製品を作成するための基礎として使用しています。

毎日追加される製品の数は、市場の需要と季節性に応じて変動していると言われています、外部からは数字を確認することはできません。データ会社 Business of Apps が発表した統計によると、SHEINは平均して 1 日約 2,000 の新しいアイテムを Web サイトに追加しているそうです。

「少量注文と迅速な再注文」生産モデル

生産の無駄を減らし、オンデマンド製造を前提に構築されていることになります。.このテストと学習の形式によって、無駄と過剰な在庫が大幅に削減されます。
業界の平均売れ残り在庫レベルは 25% ~ 40% であり、SHEINはそれを 1 桁に減らしていると言われています。

SCMで製造するためには、デザインとパターンを起こす必要があります。SHEINについては、

ウォールストリート・ジャーナルによると、SHEINが他人のデザインで利益を得ていると主張する訴訟の数が近年増えているといいます。

公的な記録によると、SHEINまたは香港にある親会社のZoetop Businessは、過去3年間に米国で商標または著作権の侵害を主張する少なくとも50件の連邦訴訟の被告として名前が挙がっているとのことで、著作権侵害や商標侵害を訴える原告には、自宅スタジオで活動する個人から、ラルフローレン社やサングラスメーカーのオークリー社を含む大手小売業者まで含まれています。

そして、3D・CADによるデザインと仕様が標準化されたプロトコル(PLM)で工場にオンライン伝達されると、CAM機器でマーキング・裁断され縫製に移れるのがアパレル産業です。

企画段階では、マークした対象国のECサイトやSNSからクローラがトレンドを自動収集して、AIが販売動向を付加して、3D・CADデータベースからプロトデザインを作成して、それに基づいてデザインチームが数日でデザインを仕上げていくことになります。
*と言っても、2000/日の商品を仕上げるデザインパワーを自社保有しているとは考え憎いです。

中国ではレッドカラー社によるパターンオーダースーツの7dayサプライが定着して日本にも波及しています。
遥かに工程数の少ないカジュアルウエアを小ロットで作るくらいなら、広州産地などでは、企画から初期ロット生産品の出荷まで1週間、既存企画の追加生産なら2〜3日で完結して当たり前なのが中国です。

だからこそ、SHIENは中国では展開していないのです。
広州産地には機動力のある中小工場が密集していると言われています。現物流通する素材も潤沢だと言われています。

となると、ドロップシッピング的にSCMを回している一面もあると想像がつきませんか。

SHEINが採用しているビジネス要素で

マーチャンダイジングテック

での、3Dデザインモデリングのテクノロジーを提供するスタートアップのサービスを探索・検証してみます。

マーチャンダイジングテック

ブランドはますます、物理的な製品に加えてオンラインで仮想ファッションを提供しています。
したがって、eComm に適した 3D ソリューションの必要性が高まっています。

DTC(D2C) ワークフローを検討する際に考慮すべきいくつかのポイント

  • デジタル資産は貴重なディスク容量を消費して、読み込み速度の点で eComm に適していません。新世代の 3D アセットは構成可能で、オンラインでリアルタイムにレンダリングされ、オンライン ショッピング Web サイトとシームレスに統合されます。
  • 真に適合する仮想化: 結局のところ、デジタルで承認されたものは、オンラインで販売して製造する必要があります。したがって、すべては優れた 2D CAD ファイルから始まります。
  • 写真のようにリアルな仮想化。消費者は、デジタル資産と物理的な製品の違いを見分けるべきではありません。
  • 没入型のオンラインショッピング体験。AR/VR の統合により、販売率が向上する可能性があります。
  • AI統合。消費者の行動と需要レベルを監視、分析、予測する可能性を追加すると、生産が最適化され、マスカスタマイゼーションが可能になります。さらに、サイズ推奨機能の統合により、返品率を下げることができます。

3Dデザインモデリング

マッキンゼーによると、ファッションにおける従来のデザイン プロセスは退屈な場合が多いそうです。スタイルが製品化されるまでに 3 ~ 8 か月かかる場合があります。 3D アセット会社は、より効率的でシームレスなデザインを生成し、わずかな時間で市場に投入するような取り組みを提供しています。

CLO Virtual Fashion

日本でもサービス提供しています。
デザイナーは衣服シミュレーションを介して変更を加え、生産を開始する直前まで変更を加えられるシステムで、衣服を修正できます。

CLO Virtual Fashion

Z-Emotion

韓国を拠点としています。

Z-motion

 

コラボレーションのためのクラウドベースの 3D アセット ライブラリでは

小売業者が既存の 3D 衣類モデルを微調整して、ゼロから始めることなく新しい衣類を作成できます。
顧客の資産を管理するための最高のチーム コラボレーション アプリを入手してください。シンプルなライセンス構造で 3D コンテンツを保護します。

ファッションからメタバースへ
ゲーム アプリや NFT マーケットプレイスなどに 3D アセットを搭載することで、顧客を引き付けることができるようになりました。

VIRTUALTY FASHION

3D ファッションの明白な進化は、ビッグ データとの接続です。インターネットからデータを正確に収集して自動化された人間の意思決定プロセスを改善し、Virtual Fashion と組み合わせることで、新しいコレクション計画と在庫レベルを最適化できます。

virtuaity.fashionはSelectikaとのパートナーシップを開始します。これにより、ブランドや小売業者は製品データと買い物客の好みの力を解き放ち、パーソナライゼーションを最適化し、持続可能性を改善し、返品を減らすことができます。

このプラットフォームは、e コマースの次世代のパーソナライゼーションです。

コンピューター ビジョンとディープ ラーニングは、小売業者のカタログから豊富な製品属性 (袖の形、ネックライン、フィット感、スタイル、生地など) を抽出し、買い物客の好み (体型、個人的なスタイル、サイズ、意図など) を分析します。アルゴリズムは、物理的な製品とデジタル製品に基づいて、各買い物客にパーソナライズされた品揃えを提供します。

次回は #6 AIを活用した検索&レコメンドエンジン はこちら

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    西間木 智

    監修者

    株式会社富士ロジテックホールディングス

    西間木 智 / 通販営業部 部長

    物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

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